本記事の内容
- 技適マークについて簡単に説明
- 技適マークと無線ゲーミングマウス
- 技適マークのない無線ゲーミングマウスを日本国内で使用する方法はあるのか
- よくある質問
- 結局技適マークのない無線ゲーミングマウスは使ったらダメなの?
- まとめ
本記事の執筆者
パトス(@youlife1024)
- パトログの管理人
(FPSとゲーミングデバイスのメディア) - 根っからのFPSゲーマー
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(デバイス情報がご飯のお供)
本記事を書いている僕はFPS歴10年ほど(CSGO|PUBG|APEX|VALORANT)
僕自身がデバイス好きのFPSゲーマーなので、同じFPSゲーマー目線での悩みや疑問の解消を手助けできるはずです。
"技適マークのない無線ゲーミングマウスは日本国内で使用できるのか"
海外から無線ゲーミングマウスを購入しようと思っている方、または購入したことがある方は、このような疑問を持ったことがあると思います。
また、この記事にたどり着いた方の中には技適マークのない無線ゲーミングマウスをすでに使っている、または購入しようと思っている方もいるのではないのでしょうか。
結論からお伝えすると技適マークのない無線ゲーミングマウスを日本国内で使用すると電波法違反になります。
電波法違反、そう言われてビクッとしましたね?
そうなんです、技適マークのない無線ゲーミングマウスを使うと電波法違反、つまり法律違反になります。
ただし日本国内で技適マークのない無線ゲーミングマウスを使用している方をたくさん見かけますよね。
じゃあなぜその方々は逮捕されないんだろうって思ったことありませんか?
この記事ではそんな疑問や実際に筆者が調べてわかったことなどを無線ゲーミングマウスの技適について知りたい方向けに解説していきますので最後までじっくりと読んでみてください。
目次
技適マークについて簡単に説明
まず技適とは「技術基準適合証明」の略称です。
そして技適マークは、電波法で定められている技術基準に適合している無線機であることを証明するマークになります。
現在の技適マーク
旧タイプの技適マーク
引用元:総務省
原則技適マークが付いていない無線機は国内では使用することができず、無線ゲーミングマウスもこれに当てはまります。
もし技適マークの付いていない無線機を使用してしまうと電波法違反(※)になります。
※1年以下の懲役又は100万円以下の罰金の対象。また、公共性の高い無線局に妨害を与えた場合は、5年以下の懲役又は250万円以下の罰金の対象。
技適マークはどんな製品に必要?
技適マークは、主に無線機や電波利用機に必要で、
- 携帯電話
- 無線LAN機器
- Bluetoothデバイス
- 無線ゲーミングマウス
などの製品が該当します。
これらの製品には必ず製品のどこか、もしくは化粧箱等に技適マークが付いています。
技適マークがないと使用ができない理由
- 技術基準に適合していない可能性があり、合法的に使用できない
- 他の無線通信への妨害や干渉を引き起こす危険性がある
技適マークがないと使用ができない理由は主に上記二つになります。
技術基準に適合していない可能性があり、合法的に使用できない
技適マークは技術基準に適合している無線機であることを証明するマークです。
この技適マークがないと電波法違反になってしまうため、日本国内で合法的に使用ができないというわけです。
他の無線通信への妨害や干渉を引き起こす危険性がある
技適マークのない無線機は技術基準に適合している保証がとれないため、他の無線通信への妨害や干渉を引き起こす危険性があります。
実際に「総務省のホームページ」には、技適を受けていない無線機が引き起こした「混信・妨害の事例」が掲載されています。
外国規格のベビーモニターが携帯電話の基地局に妨害
離れた部屋の赤ちゃんの様子を見るためのカメラ(ベビーモニター)が、携帯電話の基地局に妨害を与え、携帯電話が使えなくなる事案がありました。
(H22、1、神奈川県)引用元:総務省
技適マークと無線ゲーミングマウス
技適マークについてざっくりと理解していただけたでしょうか。
ここからは本題の技適マークと無線ゲーミングマウスの関係について詳しくお話ししていこうと思います。
技適マークなしで使用すると電波法違反になる
前述の通り、日本国内で技適マークのない無線ゲーミングマウスを使用した場合はもちろん電波法違反になります。
ただし現状技適マークのない無線ゲーミングマウスを日本国内で使用して逮捕された方や罰金を受けたという話は聞かないですよね。
電波法違反になることは間違いないのですが、必ずしも逮捕や罰金などの対象になるとは限りません。
無線ゲーミングマウスには、技適マークが付いている、付いていないにかかわらず主に使われているのは2.4GHz通信(周波数帯)です。
2023年現在、技適マークの付いていない無線ゲーミングマウスの電波が他の無線通信への妨害や干渉を引き起こし、使用者が逮捕されたという事例はないとのこと。
そのため「技適マークが付いていない無線ゲーミングマウスを使用しても他の無線通信への妨害や干渉を引き起こす危険性は限りなく低い」というのが現状です。
ただし、技適マークが付いていないということは、他の無線通信への妨害や干渉を起こさないということの保証が取れません。
なので、もし技適マークの付いていない無線ゲーミングマウスから違法な電波が発信されてしまい、実害が発生してしまった場合は電波法違反による懲役又は罰金が科せられてしまうことになるでしょう。
日本国内で無線ゲーミングマウスを安全かつ合法的に使用するためには、技適マークが付いていることが必要不可欠です。
技適マークの場所
技適を受けた無線ゲーミングマウスには必ず技適マークが付いており、
- マウス底面
- レシーバー
- 説明書
- 化粧箱
などに付いていることが多いです。
Logicool G PRO X SUPERLIGHTの場合、マウス底面とレシーバーに技適マークがあることが確認できました。
海外から個人輸入した無線ゲーミングマウスにも技適マークが付いていることがある
海外サイトから購入した無線ゲーミングマウスにも技適マークが付いていることがあります。
主に日本で取り扱いがあったり正規代理店を構える海外メーカーの無線ゲーミングマウスが当てはまることが多いです。
例えば
- Ninjutso
- LAMZU
などが当てはまります。
Ninjutsoはふもっふのおみせ、LAMZUはHID-Labsが正規代理店として提携されており、海外サイトで購入したとしても技適マークが付いています。
ただし、
- 一部の中華製無線マウスの中には技適マークだけ付いていて実際は技適を受けていない場合もある
- 日本で販売されているけども技適を受けていない場合もある
のようなこともあるので、必ず技適マークと先頭にRがつく技術基準適合証明番号がセットであることを確認しましょう。
以下の画像は実際に筆者が海外サイトから購入した無線ゲーミングマウスです。
しっかりと技適マークが付いていることが確認できました。
Ninjutso Sora
LAMZU Atlantis Mini
分解・改造を行うと技適の効力がなくなり、技適マークの除去が必要
無線ゲーミングマウスは分解や改造をする前の状態で技適を受けているため、分解や改造をしてしまうと技適の効力がなくなります。
技適の効力がなくなった無線ゲーミングマウスは原則技適マークを除去しなければなりません。
分解
マウスの底面にあるネジを回し、マウス自体をあけることを指します。
そのため、マウスソールの交換は分解にはなりません。
改造
マウスを分解し、スイッチやバッテリーなどの使われている部品を交換することや塗装を施すことです。
マウス表面に塗装を施すことは改造にはなりませんが、分解をして塗装を施す場合は改造になってしまうので注意が必要です。
技適を受けた無線ゲーミングマウスの調べ方
技適を受けている無線ゲーミングマウスかどうかは「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」で調べることができます。
- 技術基準適合証明番号
- 氏名又は名称
- 型式又は名称
などで検索し、調べることになります。
今回はLogicool G PRO X SUPERLIGHTを調べてみました。
裏面のレシーバーカバーを外した場所に技術基準適合証明番号が確認できるので、完全に入力(ハイフン含む)して下部にある送信ボタンを押します。
これがLogicool G PRO X SUPERLIGHTの技適(技術基準適合証明)になります。
Logicool G PRO X SUPERLIGHTのように技適に製品名などが記載されていない場合もあるので注意が必要です。
技適マークのない無線ゲーミングマウスを日本国内で使用する方法はあるのか
短期間の実験等(レビューを含む)のみを目的とする場合は申請を行うことで限定的に使用できる場合があります。
それが「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」です。
2023年10月時点での申請方法です。
今後申請方法や条件等が変更になる可能性があります。
技適の特例制度とは
- 実験・試験・調査を行う専門家が、自己責任で無線機器を使用するための手続です。
- 適切な手続を行わずに無線機器を使用すると、電波法に定める刑罰の対象となります。
- 技適マーク がある場合は、この手続を行わなくても使用できます。技適マーク は、登録証明機関に申請して証明を受けるなどの方法で取得することができます。
- あらかじめ、電波法第4条の2など、特例制度関係の法令をご確認ください。
総務省に申請することによって、技適マークのない無線機を合法的に使用することができる制度です。
ただし短期間の実験等(レビューを含む)のみを目的とする場合のみ申請ができるため、個人利用を目的とした申請はできません。
技適の特例制度に申請するために準備するもの
- アカウント
- マイナンバーカード
- ICカードリーダー(PCで申請する場合のみ)
- デバイスのシリアル番号
技適の特例制度の申請には上記4つが必要になります。
PCで申請する場合
マイナンバーカードの読み取りのためにICカードリーダーが必要になります。
スマートフォンからの申請する場合
スマートフォンのNFCでマイナンバーカードの読み取りができるため、ICカードリーダーは不要になります。
技適の特例制度の申請方法
- フローチャート確認
- 新規ユーザー登録
- 本人確認
- 開設届出
上記の流れになります。
今回は一例として筆者がスマートフォンから技適マークのない無線ゲーミングマウス「EDIFIER HECATE G3M PRO」の申請手続きを行った手順を解説します。
また、申請は電波を発射する無線ゲーミングマウスのみが対象のため、基本レシーバー(受信機)の申請は不要となるそうです。
フローチャート確認
フローチャートを確認し、技適の特例制度の申請対象かどうかを確認します。
このフローチャートに当てはまらない場合は技適の特例制度に申請することはできません。
新規ユーザー登録
「新規ユーザ登録」から個人情報の入力やメールアドレスの登録という一般的な入力作業を済ませます。
本人確認
本人確認にはマイナンバーカードが必要になります。
また、今回はスマートフォンからの申請手順ですが、PCからの申請の場合はICカードリーダーが必要になりますので注意してください。
マイナポータルAP経由でマイナンバーカードを読み取り、本人確認を済ませます。
開設届出
「開設届出」から申請していきます。
実験等の目的を入力します。
基本はひな形から選択し、≪≫の部分を書き換えてください。
選択ひな形:≪機器名≫ を用いた ≪具体的な機能・アプリ等≫ の動作試験
変更ひな形:EDIFIER HECATE G3M PROを用いたマウス機能の動作試験
※上記は入力例です。
無線設備の規格を選択します。
申請対象の無線設備の規格を選択します。
※無線設備の規格が記載されていない場合は申請することができないので注意してください。
これに関しては総合通信局にお問い合わせして以下のような回答をいただいています。
無線設備の規格(IEEE802.15.4など)の記載が無線機器や取扱説明書等で確認できない場合は、必要な無線従事者免許(陸特1など)を保有していれば自ら電波法の技術基準に適合していることを確認し、工事設計などの必要書類とともに届出することは可能です。(規格の記載が無いものについて、単に2.4GHz帯の無線設備規格を選択して届け出ることはできません。)
引用元:総合通信局
ちなみに今回申請した「EDIFIER HECATE G3M PRO」はBluetooth接続が可能なため、Bluetoothの規格を選択して手続きを進めました。
- 機器を識別する番号等(シリアルナンバー等)
- 機器の製造者
- 機器の型式または名称
- 設置場所・移動範囲
- 屋内/屋外の別
- 運用開始年月日
- 電話番号
- 技術基準に適合する事実の確認方法
- 確認した外国の法令
無線局(使用する無線機器)ごとの情報を入力・選択していきます。
※「確認した外国の法令」には、FCCなどの海外の電波法認証を入力します。
最後に入力内容を確認し、開設届出を提出することによって技適の特例制度への申請は完了です。
この開設届出は180日以内には必ず廃止の届出を行う必要があるため注意しましょう。
よくある質問
Q1.技適マークとはどんなマークですか?
現在の技適マーク
旧タイプの技適マーク
引用元:総務省
上記が技適マークになります。
Q2.技適マークのない無線ゲーミングマウスを購入することは問題ないですか?
購入すること自体は問題ありません。
電波法違反になる可能性があるのは、その無線ゲーミングマウスを使用して電波が発射された場合です。
Q3.技適マークのない無線ゲーミングマウスを有線で接続して使えば問題ないですか?
有線接続で使用した場合でも電波が発射されていれば、無線接続同様に電波法違反となります。
Q4.技適マークのない無線ゲーミングマウスを使っていたらバレますか?
実害が発生するような違法電波が発せられていない限り、基本バレることはないでしょう。
ただし技適マークのない無線ゲーミングマウスを使うことは電波法違反になります。
Q5.技適マークのない無線ゲーミングマウスを合法的に使う方法はありますか?
技適未取得機器を用いた実験等の特例制度に申請を行うことによって合法的に使うことができます。
ただし短期間の実験等(レビューを含む)のみを目的とする場合のみ申請ができるため、個人利用を目的とした申請はできません。
Q6.技適について詳しく確認したい場合はどこにお問い合わせしたらいいですか?
最寄りの総合通信局へメールまたは電話でお問い合わせすることになります。
また、総務省の「技適マークのQ&A」に様々な質問の回答が載っているため、お問い合わせ前に確認してみることをおすすめします。
結局技適マークのない無線ゲーミングマウスは使ったらダメなの?
あえてハッキリさせておくと電波法違反になるため、技適マークのない無線ゲーミングマウスは使ったらダメです。
法律違反が良いかダメか聞かれたらもちろん「ダメ」ということを100人中100人が容易に想像できると思います。
そしてここからはグレーとされている部分です。
法律違反だったとしても実害が発生していない以上、逮捕や罰金が科せられることがほぼないのが現状です。
2023年10月時点で技適マークのない無線ゲーミングマウスを使っても他の無線通信への妨害や干渉を引き起こしてしまった
という事例はないそうですが、今後ないとは言い切れません。
万が一違法な電波が発せられている無線ゲーミングマウスを使用した場合には、電波法違反による懲役や罰金が科せられてしまう可能性があります。
そのため技適マークのない無線ゲーミングマウスを使うか使わないかは完全に自己責任になります。
それと技適について話していると忘れてはいけないのが「技適警察」です。
技適警察というのは要するに「技適マークのない機器使うこと許すまじ」という人たちです。
もし技適マークのない無線ゲーミングマウスを使用しているとこのような方々に度々ご指摘をもらうことになります。
技適マークのない無線ゲーミングマウスを使用していると法律違反をしている立場なので反論の余地がありません。
- 自衛のため
- 合法的に堂々と使うため
- 技適警察の方々にご指摘をもらわないため
にも技適マークの付いている無線ゲーミングマウスを使うことが望ましいというのが筆者の考えです。
まとめ
今回は、【技適マークのない無線ゲーミングマウスは日本国内で使用できるのか】ということについて解説しました。
やはり実害はない可能性が高いといっても技適マークのない無線ゲーミングマウスを使うことは法律違反になってしまうため少なからずリスクを伴います。
また自衛のためにもしっかりと技適を受けた無線ゲーミングマウスを使う方が安全ですし、堂々と使うことができます。
今後もしかしたら電波法が改訂され、技適の取り扱い条件が緩くなる場合もあればその逆に厳しくなる場合もあります。
技適マークのない無線ゲーミングマウス中には、筆者好みの形状のマウスが数多くあるので、合法的に使えるような未来が訪れることを切に願っています。
筆者は法律の専門家ではないため間違った解釈などがあるかもしれません。
可能な限り調査・お問い合わせを行い記事を作成していますが、疑問に思われる部分がありましたらご自身で総合通信局をお問い合わせください。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました!
この記事が、無線ゲーミングマウスの技適について詳しく知りたいと思っている方の参考になれば幸いです。
以上、パトス(@youlife1024)でした。